2020.07.17
高血圧対策
夏の血圧に要注意!食事から始める夏の血圧対策
夏は熱中症対策にばかり意識が集中しがちだが、実は血圧にも大きな影響を与える季節である。
そこで今回は、夏に起こりやすい血圧の変化と、注意点について解説する。また、高血圧の方と低血圧の方に向けたおすすめレシピも、それぞれ紹介する。
目次
1.夏は血圧が下がりやすい
血圧が変動する理由は、食事・睡眠・ストレス・喫煙といったさまざまな生活習慣のほか、季節が移り替わることによる気温の変化や、発汗状態なども影響している。
基本的に、血圧は暑い夏には下がりやすく、寒い冬には上がりやすい。
夏に血圧が下がりやすい要因は、気温と共に体温も上昇しやすく、体内の熱を拡散するために血管が拡張されることが挙げられる。同時に、血管内の水分と塩分を汗として排出することも、血圧が下がりやすくなる理由の一つである。
そのため、お風呂上がりに血圧を測る習慣がある人が、健康診断時の血圧を高いと感じるのは、こういったことが影響している可能性があることを心に留めておきたい。
一方、冬は寒さによる血管の収縮や、血圧を上げることによって体温を維持しようとする働きがあること、運動量が減少しがちな上に、塩分の多い食事が増えるといったことが要因とされている。
2.気温の落差にも注意が必要
一般的に、気温の落差が5度以上になると、血圧が上昇しやすいと言われている。
四季を通じて同じことが言えるが、特に夏場の気温が高い日ほど、戸外と室内の気温差が大きい場所が少なくない。冷房が強く効いている環境では、体が急激に冷えることで血管が収縮し、血圧が急上昇しやすくなるため、体調の変化には注意が必要となる。
なお、夏場に冷房が強く効いている部屋に長時間滞在して血圧を計測した場合、通常よりも血圧が高く計測される可能性がある。
3.食事から始める夏の血圧対策
血圧の高さによって夏に取るべき食事は異なり、高血圧の方は減塩を意識したレシピ、低血圧の方は反対に塩分を摂りやすいレシピが必要となる。
3-1.高血圧の方
夏は血圧が下がりやすいが、高血圧の方は油断しないようにしたい。減塩を意識しながら、水分補給にも気を使おう。おすすめの減塩レシピを2つ紹介する。
◯にんにくの芽とあさりのスープ
<おすすめポイント>
スープは水分と栄養成分を同時に補える。にんにくの芽は、にんにくより食べやすく、食物繊維や抗酸化作用のあるビタミンCも含まれる。あさりはミネラルが豊富で、夏の汗とともに不足しがちな鉄分などのミネラルも補える。あさりのだしやごま油の香りを効かせることで、味噌や醤油などの調味料を減らし、少量の塩でも美味しく食べられる減塩スープに仕上げた。
<材料>2人分
にんにくの芽 100g
あさり 殻付き150g
きくらげ もどして15g
酒 大さじ1
水 2カップ
塩 少々
ごま油 小さじ1/2
ごま 小さじ½
<作り方>
①:あさりは砂抜きをしておき、殻をこすり合わせて良く洗う
②:にんにくの芽を食べやすい大きさに切る
③:鍋に①・②ときくらげ、酒、水を入れて約2分煮る
④:塩で味を調え、ごま油で香りを付ける
⑤:器に盛り、ごまを散らしたらできあがり
◯ささみ入りさっぱりサラダ
<おすすめポイント>
暑い時期にも食べやすいサラダは、ナトリウム排泄作用のあるカリウムが一緒にとれる。また、野菜のみでなく、お肉をプラスすることで、ボリュームもでて、低カロリーであっても満足感につながるレシピだ。
<材料>2人分
ささみ 2本
コショウ 少々
サラダ菜 1袋(約100g)
ごま油 大さじ1
塩 少々
焼きのり 1枚
<作り方>
①:ささみはすじを取ってコショウをふり、耐熱容器に入れる
②:ふんわりとラップをかけ、電子レンジで約3分加熱する
③:粗熱が取れたら、食べやすい大きさにさく
④:サラダ菜は食べやすい大きさに、焼きのりはサラダ菜より細かくちぎる
⑤:ボウルに③とサラダ菜を入れ、ごま油をかけてからめる
⑥:塩を全体に振り、ちぎったのりを和える
⑦:皿に盛り付けてできあがり
3-2.低血圧の方
低血圧の場合、水分と共に塩分を摂ることを意識する。高血圧は自覚症状が出るまで時間がかかるケースが多いが、低血圧は早い段階から立ちくらみなどの症状に繋がりやすい。水分と塩分が同時に摂れる、おすすめのレシピを2つ紹介する。
◯冷や汁
<おすすめポイント>
旬の夏野菜であるキュウリはカリウム、ビタミンC、食物繊維なども含まれ、体をクールダウンさせる。豆腐でたんぱく質も補え、味噌で適度に塩分も補える。出し汁と一緒にさらさらと喉ごしよく食べられ、水分も補える。食欲不振になりやすい低血圧の人にとって、バランスも取りやすい夏にぴったりのメニューだ。
<材料>2人分
きゅうり 1本
塩 少々
青じそ 3枚
みょうが 1個
豆腐 1/2丁
白すりごま 大さじ2
みそ 大さじ1と1/2
かつお節 3g
顆粒和風だし 小さじ1
水 300ml
<和風だしの下準備>
①:水と顆粒和風だしを鍋に合わせて火にかける
②:顆粒和風だしが溶けたら粗熱を取り、ボウルに入れて冷蔵庫で冷やす
<作り方>
①:豆腐をキッチンペーパーに包み、10分ほど置いて水切りをする
②:きゅうりは薄切りにして、塩もみをし、しんなりしたら固く絞る
③:青じそ、みょうがは千切りにする
④:ボウルにみそと和風だしを入れてよく溶かす
⑤:きゅうり、みょうが、青じそ、白すりごま、かつお節を入れる
⑥:豆腐を手でちぎり入れて、全体をよく混ぜ合わせたら、できあがり
◯まるごとトマトのおひたし
<おすすめポイント>
トマト1個で150mlほどの水分が摂れる。おひたしにすることで、塩分も一緒に補え、ビタミン類も取れる。水分を多めに取ることは、血液量を増やすことにもつながり、低血圧に効果的だ。
<材料>2人分
トマト 2個
青じそ 2枚
だし汁 200ml
薄口しょうゆ 大さじ1
<作り方>
①:トマトはヘタを取り、皮をむく。※熱湯にくぐらせてから冷水に浸すと剥きやすい
②:青じそは千切りにする
③:耐熱皿にトマトを並べ、だし汁、薄口しょうゆを合わせがける
④:ラップをし、電子レンジで約3分加熱する
⑤:粗熱が取れたら、冷蔵庫で冷やす
⑥:皿に盛り、青じそを飾ったらできあがり
4.熱中症対策も重要
夏の血圧変化に対する対策と、熱中症に有効な対策は、どちらも水分補給やミネラルが重要になる点では同じだ。ただし、塩分の摂取量などは高血圧の方と低血圧の方で真逆となるため、間違わないよう注意したい。
通常の水分補給は、30分ごとにコップ半分程度の水をこまめにとることが大切である。喉の渇きを覚える前に、積極的な水分摂取を心がけて欲しい。
夏場はビールなどのアルコールを飲む機会が増える方も多いだろうが、水分摂取には水やお茶による補給を優先し、アルコールによる水分補給は控えよう。
アルコールは利尿作用があり、飲んだお酒以上に水分が体から出ていってしまうからだ。アルコールを飲むときは、お酒と同量以上の水分を摂取することが必要になる。
血圧は、季節だけでなく、睡眠不足、ストレスなども関係がある。バランスのよい食事や適度な運動を取り入れ、十分な睡眠時間を確保するなど、良い生活習慣を意識しよう。
5.まとめ
夏は気温の上昇に伴い、体温を下げるために血管が拡張したり、汗と共に塩分も排出されたりすることから、血圧が下がりやすい季節である。しかし、室内外の気温差が激しい場所が多いことで、急激な血管の収縮による血圧の上昇も招きやすいため注意が必要だ。
夏は、熱中症対策も重要な季節であり、こまめな水分補給が必要になる。バランスの良い食事を取り、適度な運動、睡眠など生活習慣を整えることも意識して、夏の血圧の変化に対応していきたい。
管理栄養士資格、栄養士資格、フードスペシャリスト資格
食事療法が必要な方や老若男女問わず、心身ともに健康になれるお食事のお手伝いがしたいという想いから、タイヘイ株式会社に入社。現在は、管理栄養士として在宅向け商品の開発・販売とお電話でよせられるお客様からの食事に関するご相談の業務を行なっています。より多くの方が健康な日々を過ごせるように、食と健康に関する豊富な情報を発信していきます。
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