2023.10.03
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糖質の一日の摂取量はどのくらい?糖尿病リスクについても解説
ボディメイクや体調管理を気にしている方は、糖質が気になりますよね。適正な一日の摂取量はいったいどのくらいなのでしょう?
糖質は「人間が生きていく上で必要不可欠な栄養素」のひとつ。不足すればエネルギー不足を招き、多すぎれば肥満や病気の原因になります。自分の身体にとって過不足のない摂取量を把握しておきたいものです。
この記事では、糖質の一日の摂取量の目安について、過剰に摂取した場合の糖尿病リスクに触れつつ解説します。毎日の献立や食生活の改善にお役立てください。
目次
1.そもそも「糖質」とは
糖質とは炭水化物の一部で、体のエネルギー源になるものです。炭水化物は米やパンといった主食に多く含まれる栄養素で、炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質です。
糖質は消化酵素によってブドウ糖などの物質に分解されてから吸収され、脳や神経をはじめとした様々な器官を動かす重要なエネルギー源になります。人間が活動する上で欠かせないものといえるでしょう。
一方で食物繊維は、消化酵素で分解されず腸内に働きかけて、便通を整え、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあります。脂質・糖・ナトリウムの摂り過ぎは、肥満・脂質異常症・糖尿病・高血圧など生活習慣病の一因となります。
健康に配慮して炭水化物を摂取する際は、糖質量だけでなく食物繊維の割合にも注目しましょう。
2.糖質の一日の摂取量について
糖質は具体的な一日の摂取量が明確に定められているわけではありません。そのため、糖質の母体である炭水化物の量や推定エネルギー必要量から算出する方法をご紹介します。
一日の糖質摂取量は計算できる?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、一日に摂取する炭水化物の摂取目標値は総摂取エネルギーの50~65%としています。一日の食事の全体量(エネルギー)でみて炭水化物は半分くらいまでと意識すると覚えやすいでしょう。
一日のエネルギー摂取量は以下の表が参考になります。
<日本人の推定エネルギー必要量(kcal/日)>
※身体活動レベル「ふつう」の場合
年齢 |
男性(kcal/日) |
女性(kcal/日) |
12~14(歳) |
2,600 |
2,400 |
15~17(歳) |
2,800 |
2,300 |
18~29(歳) |
2,650 |
2,000 |
30~49(歳) |
2,700 |
2,050 |
50~64(歳) |
2,600 |
1,950 |
65~74(歳) |
2,400 |
1,850 |
75以上(歳) |
2,100 |
1,650 |
※出典元:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) 参考表2 推定エネルギー必要量(kcal/日)
炭水化物の摂取目標値50~65%と上記のエネルギー必要量を踏まえて、30~49歳の男性の炭水化物の摂取目標量を計算すると、以下のようになります。
2,700 kcal×50~65%=1,350~1,755kcal
一日の炭水化物の摂取量は1,350~1,755kcalが目安ということです。炭水化物は多くの部分が糖質なので糖質量の基準として考えておけば、摂りすぎ防止の助けになるでしょう。
人によって必要な糖質摂取量は違う
上記の計算はあくまで一般的な目安であり、人によって必要な糖質量は違います。
例えば、同じ年齢体重の人でも、一日の大半を座って生活している人と移動・立ち時間が多い人とでは、消費エネルギーが違うため必要な糖質量が変わってきます。また、長時間座っている場合であっても、将棋棋士のように過度な集中・緊張の中で思考する人の場合、体重が2~3kg減少するほどエネルギーを消費するケースもあります。
計算式で算出する数値はあくまでも目安として、自分の活動量や体調と相談しながら摂取することを心がけましょう。
3.糖質を摂り過ぎた場合・不足した場合のリスク
糖質を過剰に摂取してしまったり、あるいは体が必要とする量より少ない摂取量だったりした場合、どのような問題が生じる可能性があるのでしょうか。それぞれのリスクについて解説します。
糖質を摂り過ぎた場合のリスク
糖質そのものはエネルギー源として重要ですが、消費しきれなかった糖質は体に脂肪として蓄積されます。また、一度に糖質をたくさん摂取すると、血糖値が急上昇し、糖尿病を引き起こしてしまう恐れがあります。
一度に大量の糖質を摂ると上がった血糖値を下げようと、たくさんのインスリンが分泌されます。インスリンは血糖値を下げ、細胞が血液中のブドウ糖を取り込みエネルギーに変えるのを促すものですが、余った糖質を脂肪に変える働きもあります。そのため、インスリンの分泌が増えると太りやすくなるのです。
また、インスリンの過剰分泌が続くと分泌している膵臓(すいぞう)にも負担がかかり、うまく分泌ができなくなる場合があります。必要な時にインスリンが分泌されなければ血糖値が下げられず、慢性的な高血糖になり、やがて糖尿病の発症につながります。
糖質が不足した場合のリスク
糖質は過剰摂取が危険な一方で、不足しても体調に不調を招きます。糖質は身体や脳を働かせるエネルギー源です。十分に摂取しないまま仕事を続けていると低血糖になり、集中力の低下や疲れやすさを感じるようになります。
午後に眠気に襲われたり、食後に集中力・判断力が低下してボーっとしたりする場合は、摂取する糖質の量を見直してみましょう。仕事・勉強で高いパフォーマンスを維持するためには、自分にとって適切な量の糖質を摂取することが大切です。
糖質はすぐにエネルギーに変わる反面、糖質として貯めておくことが難しい栄養素です。適度なタイミングでちょうどよい量を摂るように心がけましょう。
ボディメイク目的では特に注意が必要
ボディメイクを目的に糖質を制限する低炭水化物食を実践している人は、低血糖に注意しましょう。
低血糖とは、血糖値が正常範囲以下にまで下がった状態のことをいい、冷や汗・動悸・ふるえなどの症状が現れます。重度になると、意識障害やけいれんなどの症状が出ることもあり、命に関る場合もあり得ます。
低血糖の原因としては、過度な糖質制限、食事量が少ない、運動量が多過ぎるなどがあげられます。ボディメイクで糖質制限をする方は低血糖を起こしやすいので十分に注意しましょう。
4.糖質摂取をコントロールするための食事の仕方
糖質量に配慮するときは食べ方も大切です。以下の点に注意すると、糖質摂取のコントロールにつながります。
ゆっくり食べる
美味しいものは、あっという間に食べてしまうものです。しかし、飲み込むようにして食べたり、一気にたくさんの量を食べたりすると、血糖値が上がりやすくなります。
食事の際は、食べ物をよく噛むようにしましょう。よく噛むことで脳は少しの食事で満腹感を感じやすくなり、早食いや食べすぎの防止になります。具体的な回数としては、一口につき30回噛むことを心がけましょう。
食べる順番を考える
血糖値の急激な上昇を抑える上では、食べる順番が重要です。ごはん・パン・麺など糖質が多いものは後回しにして、野菜・きのこ類などの食物繊維を先に食べることにより、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。
また、おひたし・みそ汁・スープなどに関しては、野菜と同じように分類して考えると良いでしょう。
GI値にも注目する
糖質を含む食材の中には血糖値が上がりやすいものと上がりにくいものがあります。主食を選べるのであれば、なるべく血糖値が上がらないものを選びたいところです。
食品に含まれる“糖質の吸収の度合い”を示す数値のことを「GI(Glycemic Index)」といいます。血糖値上昇をゆるやかにしたいのであれば、できるだけGI値60以下の「低GI値」の食べ物を食べることが大切です。
いつもの食事をGI値の低い主食や野菜に切り替えてみるのも手です。
5.まとめ
糖質は炭水化物から食物繊維を引いたものです。人間が活動する上で必要不可欠な栄養素ですが、摂りすぎると肥満や糖尿病につながる恐れがあるため、適正な量を摂ることが大切です。
一日に摂取する炭水化物の摂取目標値は総摂取エネルギーの50~65%です。ただし、性別や体格、活動量など人によって最適な摂取量が異なるので体調を見ながら調整しましょう。
また、よく噛んで食べる、野菜から先に食べる、低いGI値の食材に切り替えるといった食べ方の工夫でも糖質の吸収量は抑えられます。自分のライフスタイルに合った方法で糖質と上手に付き合っていきましょう。
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