2022.11.08

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高齢者が下痢のときの食事~摂りたいもの・控えたいもの~

高齢者が下痢のときの食事~摂りたいもの・控えたいもの~

高齢になってからの下痢は体力が奪われやすく、食欲にも響くと栄養不足が心配になりますよね。高齢者が下痢の時の食事はどうしたらいいのでしょうか?

実は下痢で怖いのは脱水症状と悪化させてしまう食べ物。「下してしまうから水分は控えよう」「なんでもいいから食べなきゃ」という考えには注意が必要です。

そこで今回は、高齢者が下痢のときの水分補給方法、積極的に摂るべきもの、控えるべきものなどを解説していきます。体調を悪化させないように正しい食事方法で対処しましょう。

1.高齢者が下痢を起こしたらまず水分補給

「下痢だから水分を控えなきゃ」と考える人もいますが、それは間違い。下痢のときこそ、しっかりと水分補給をしなくてはなりません。

下痢で排便回数が増えると体内の水分量が急激に減少します。特に高齢者は、筋力の衰えで水分を保持する力が弱まっているので、頻繁な排泄で大量に水分が失われるとすぐに脱水になってしまいます。食欲がなくても水分補給はこまめに行いましょう。

下痢のときは1 日コップ8~10 杯分を目安に少しずつ水分摂取するのが基本。飲み物は白湯の他、吸収が良くてミネラルも摂取できる経口補水液やスポーツドリンクもおすすめです。

食事は食欲がわいてきてからで問題ありません。消化の良いものを中心に、少量ずつ摂りましょう。

 2.高齢者の下痢のときの食事【積極的に摂るべきもの】

少しずつ食欲が回復してきたら、身体にあまり負担がかからない食事を用意しましょう。下痢の回復に役立つ食事をご紹介します。

下痢の回復に役立つ食事のポイント

高齢者が下痢をしているときの食事は以下のポイントを心がけましょう。

・エネルギーと栄養の補給のために少量でも食べる

・温かくて消化にいいもの、胃腸に刺激が少ないものを食べる

・エネルギー源となる炭水化物や、傷ついた粘膜を修復するたんぱく質豊富な食品を摂る

積極的に摂りたい食品

下痢の回復期に積極的に摂りたい食品を詳しくご紹介します。どの食材も柔らかさや水分量にも注目して調理しましょう。

エネルギー源となる食品

  • おかゆ
  • やわらかいうどん
  • パンがゆ

下痢のときは体力の消耗が激しいため、エネルギー源として炭水化物を効率良く摂ることが大切です。おかゆにすれば、水分も同時に摂取できます。牛乳を飲むと下痢になる方は、パンがゆの牛乳を豆乳に変えて調理してみてください。

低脂肪高たんぱく質の食品

  • 豆腐
  • 鶏肉(皮や脂身は除く)
  • はんぺん
  • 白身魚

消化を良くするために、生卵や固ゆで卵ではなく、半熟卵や炒り卵にして頂きましょう。しらすや卵入りのおかゆにすれば、エネルギーとたんぱく質を一緒に補給できます。

カリウムの豊富な食品

  • りんご
  • バナナ
  • 山芋
  • ほうれん草
  • かぼちゃ
  • じゃがいも

     

下痢になると電解質のバランスが崩れやすくなるため、カリウムも意識して摂取しましょう。野菜を使うときは繊維が少ないものを選び、細かく刻む、やわらかく煮る、蒸すなど、胃腸の負担を和らげる調理法にするのもポイントです。

ただし、腎臓病がある方は摂取制限があるので主治医に確認してください。

3.高齢者の下痢のときの食事【控えるべきもの】

高齢者が下痢のときは控えるべき食事もあります。無理に食べさせるとかえって体力を奪いかねないので飲み物や食材選びには注意しましょう。

下痢のときは控えた方がいい食事

下痢のときに控えたい食事は以下の通りです。

冷たい飲み物・食べ物

冷たい飲み物や食べ物は口の中がさっぱりしますが、下痢のときは腸の負担になり、下痢を誘発してしまいます。冷たいものは避けて、常温や温かいものにしましょう。

刺激が強い飲み物・食べ物

刺激が強い飲み物や食べ物も腸を刺激してしまいます。辛いものや香辛料、炭酸飲料やカフェイン、アルコールなどは控えてください。

食物繊維が多い食品

食物繊維が多い食品や固いものは、消化に良くありません。腸に負担がかかり、下痢の悪化を招きます。ごぼうやれんこんなどの繊維の多い野菜や、海藻やきのこ、こんにゃくなどは避けた方が無難です。

腸内でガスを作りやすい食品

腸内にガスが溜まるとお腹が張りやすくなります。下痢が辛いときは、イモ類や豆類、栗、きゃべつなどガスを作りやすい食品を控えるとお腹の張りも和らぎます。

油が多い高脂肪の食品

揚げ物や焼肉、うなぎなど油が多い高脂肪の食品は消化に時間がかかるため、下痢のときは控えてください。肉類やうなぎなどを食べたい場合は、煮る、蒸す、茹でるなどの調理法にすると油が抑えられて食べやすくなります。

乳製品やかんきつ類

牛乳で頻繁に下痢を起こす方は、乳糖不耐症の可能性があります。体内で乳糖を分解する力が弱いため、牛乳や乳製品を摂るだけでお腹をくだしてしまう人もいるので避けましょう。また、柑橘系のジュースや果物(みかんなど)も下痢や嘔吐のリスクを高めます。

※薬にも注意

下痢を止めたいからといって安易に市販薬を飲むのはおすすめしません。単なる消化不良ではなく思わぬ病気が隠れている可能性も考慮してきちんと受診しましょう。

また、高齢者が内服している薬の副作用が原因となる場合もあります。下痢が続くときは、服用を中止してすみやかに医師に相談してください。

4.高齢者が気を付けたい下痢予防策

下痢を予防するには、胃腸に負担をかけない規則正しい生活習慣やバランスの良い食事を心掛けましょう。

高齢者の下痢は食中毒、感染症、経腸栄養剤の使用といった外的要因の他に、刺激物やアルコールの過剰摂取、暴飲暴食など、日ごろの生活習慣が原因になるケースも多く見られます。

高齢者は下痢になると体力や食欲が低下しやすく、低栄養や脱水も引き起こしやすくなります。急激な体調の変化は命に関わる場合もあるため、十分気をつけなければなりません。

下痢気味のときは、腹巻きなどでおなかを温かくしてゆっくり休むことが大切です。薬の副作用や病気のサインの可能性もあるため、軽症でも必ず受診するようにしましょう。

 5.まとめ

高齢者は体に水分を蓄える力が低下しているため、下痢で大量に水分が失われると、すぐに脱水になってしまいます。食欲がなくなると低栄養にもなりかねません。

下痢のときはまず水分補給を心掛け、食欲が出てきたら少しずつ食事を開始しましょう。

食事は消化の良い物を中心に、刺激物や冷たい物を控えることが大切です。高齢者は薬による副作用から下痢が起こるケースもよく見られるため、医師に相談しながら対処してください。

高齢者の下痢の原因は食中毒や感染症の他に、刺激物やアルコールの摂取、暴飲暴食などの生活習慣も多いようです。日頃から規則正しい生活や健康的な食生活で予防することが大切です。

 

 

 

 

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