2020.09.11
介護食
【介護食でもOK】高齢者でも食べやすい!おやつの選び方
高齢者は、食の好みが変化することや1回の食事量が減少する傾向があるため、必要なエネルギーや栄養が不足しがちになる。ただ、おやつを上手に活用することで、足りない栄養を簡単に補うことが可能だ。
今回は、介護食の一環として高齢者向けのおやつを選ぶ際に、どのようなものを選べば良いか、ポイントごとに紹介する。
目次
1.介護食におけるおやつの役割
おやつには、食事だけでは賄いきれない栄養の補助や食事の楽しみを増やす役割などが期待される。
1-1.栄養補助
食事以外でおやつを取り入れることで、不足しがちなビタミンやミネラルなどの栄養素や、エネルギーを補うことが可能だ。
食欲不振や嚥下(えんげ)機能(飲み込む力)の低下など、体の変化によって、1日の食事回数や1食の量が減るなど、栄養不足に陥る傾向にある高齢者には、おやつは栄養補助としての役割が大きい。
1-2.食事とは違った楽しみ
買い物や調理が億劫になる、食が細くなるなどして、高齢者は食生活が単調になるケースが散見される。同じものばかり食べていると、低栄養を招きやすい上に、食事そのものへの関心が薄れやすくなってしまう。
おやつを取り入れることで、いつもの食事と見た目や味、食感も変えることができる。また、食事とは違った楽しみや喜びを得ることで、食欲低下の予防にも役立つ。
2.おやつで摂るべき栄養素とは?
高齢者の低栄養状態を予防・改善することは、身体機能や生活機能、免疫力の維持・向上に役立ち、感染症予防にもつながる。
栄養価が高いおやつには、食事で不足しがちな栄養素を補うといった重要な役割がある。下記に、積極的に取り入れたい栄養素の主な効果と、代表的な食材をまとめている。
≪表≫
タンパク質 |
免疫力や筋力の向上など |
卵や牛乳、大豆製品など |
ビタミン類 |
エネルギー代謝の促進や疲労回復など |
フルーツや野菜など |
食物繊維 |
腸内環境の改善など |
サツマイモやドライフルーツなど |
カルシウム |
骨粗しょう症や骨折の予防など |
牛乳や小魚、ヨーグルトなど |
鉄分 |
免疫力の向上や疲労回復など |
レーズンやココア、ナッツなど |
3.介護おやつの選び方と注意点
介護用のおやつは、ただ見た目が良いものやおいしいものを選べば良いというものではない。ここでは、介護おやつを選ぶときのポイントと注意点を紹介する。
3-1.高齢者用におやつを選ぶ時のポイント
高齢者用におやつ選ぶ際は、まず以下の3つのポイントを抑えておきたい。
・必要な栄養素をしっかり補えるか
・脱水症状が気になる方には水分補給ができるものか
・見た目にも楽しいものか
栄養素に気を配ることもちろんだが、汁物や果物など水分も一緒に摂れるおやつを選ぶことをおすすめする。実は、高齢になると喉の渇きを感じにくくなり、脱水症状に陥りやすくなる。
また、おやつだからといって甘いものでなくても、大切なポイントさえ押さえていれば良い。お好み焼きや肉まんのように、エネルギーやタンパク質、野菜類が同時に取れるものなど、和・洋・中といろいろな調理方法を選択するとメニューの幅が広がる。
3-2.おやつを選ぶ時の注意点
ひと口に高齢者と言っても、口腔内や体の状態には個人差が大きい。おやつは個々の咀嚼能力や、嚥下能力に見合っているものを選択しよう。スムーズに食べられなければ、歯茎でも咀嚼できる程度の柔らかさにするなど、工夫が必要になる。
また、おやつで満腹になってしまい、肝心の食事ができないようでは本末転倒だ。おやつを食べる時間は決めておき、食べ過ぎてしまわないようにボリュームの調節にも気を配りたい。
4.自宅で簡単!シニアのための手作りおやつレシピ
市販のおやつでピッタリのものが見つからないときは、自宅で手作りするのも良い。簡単に作れるレシピを3つ紹介する。
ミルクプリン
<材料(2人分)>
・80℃以上のお湯 50cc
・粉ゼラチン 5g
・牛乳 300cc
・砂糖 15g
<作り方>
1:粉ゼラチンと砂糖を80℃以上のお湯で溶かす
2:しっかりと溶けたら牛乳を加えてよく混ぜる
3:器に入れ、冷蔵庫で冷やして固まったらできあがり
はちみつやジャムをかけたり、フルーツを添えたりするのも良いだろう。1の段階で抹茶やコーヒー、ジュースなどと混ぜても良いし、レモン汁を加えるとヨーグルトやレアチーズのような風味になるなど、色々な味を試してみてはいかがだろうか。
さつま芋のきんとん
<材料(2人分)>
・さつま芋 80g
・生クリーム 10g
・100%オレンジジュース 10g
・砂糖 8g
<作り方>
1:さつま芋は1㎝角に切ってゆで、裏ごしをする
2:あら熱が取れたら、生クリーム、オレンジジュース、砂糖を加える
3:全体を偏りなく練り混ぜたらできあがり
飲み込みにくい場合は、少量の牛乳を加え、フードプロセッサーにかけるとかたさの調整がしやすい。さつま芋と乳製品は味の相性が良く、口当たりのなめらかさが増す。
フレンチトースト
<材料(2人分)>
・牛乳 100cc
・食パン 2枚
・卵 1個
・砂糖 大さじ1
<作り方>
1:ボウルに卵と砂糖、牛乳を入れて良く溶かし混ぜる
2:食パンを好みの大きさに切り、1の液にしっかりと浸す
3:熱したフライパンに油を引き、2を程良い焼き目が付くまで焼いたらできあがり
焼く時に油ではなくバターを使用すると、コクが増す。アイスクリームやフルーツ、メープルシロップなどと一緒に食べるのも良い。また、ハムやベーコン、サラダなどと一緒に、軽食としてアレンジすることもできる。
5.まとめ
高齢になると食が細くなりがちだが、適量のおやつを1日の食事の中に組み込むことで、エネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルといった不足しやすい栄養素を補える。
市販されているものを購入して、果物を組み合わせるなど工夫しても良いが、ピッタリのものがない場合は、簡単に作れるものを自分で用意しても良いだろう。見た目や味に変化を付け、食べ過ぎに気を付けながら、おやつを上手に取り入れたい。
管理栄養士資格、栄養士資格、フードスペシャリスト資格
食事療法が必要な方や老若男女問わず、心身ともに健康になれるお食事のお手伝いがしたいという想いから、タイヘイ株式会社に入社。現在は、管理栄養士として在宅向け商品の開発・販売とお電話でよせられるお客様からの食事に関するご相談の業務を行なっています。より多くの方が健康な日々を過ごせるように、食と健康に関する豊富な情報を発信していきます。
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