2019.09.27

高血圧対策

血圧とカリウムの関係とは~役割とカリウムが含まれる食材~

血圧とカリウムの関係とは~役割とカリウムが含まれる食材~

高血圧の改善には、カリウムの摂取が効果的といわれている。
そこで今回は、カリウムの役割や血圧とカリウムの関係を解説し、カリウムが含まれる食材を紹介する。

1.カリウムの概要と役割

まずは、カリウムの種類や働きについて解説する。

1-1.ミネラルの一種

カリウムは、成人の体に約120~200g含まれ、ほとんどが細胞内に存在しているミネラルの一種。細胞内を除くと、血液やリンパなどの体液である細胞外液や骨に含まれている。
カリウムは、細胞外液に多いナトリウムと互いに作用しながら、体内を良い状態に維持するのに役立っている。

1-2.体内での役割

カリウムには、細胞内液の浸透圧を調整して、一定に保つ働きがある。また、神経の興奮性や筋肉の収縮にも関わっており、体液のpHバランスを保つ。
他にも、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを防ぎ、排泄を促すため、塩分の摂りすぎを調節する役割もある。
しかし、カリウム不足や過剰にナトリウムを摂取してしまうと、カリウムが細胞外へ出て、細胞の機能を維持できなくなるため、注意が必要である。

2.カリウムと高血圧の関係性

次に、カリウムと高血圧の関係性について解説する。

2-1.カリウムが高血圧に与える影響

カリウムにはナトリウムを体外へ排泄する作用があるため、塩分の摂りすぎが原因となる高血圧の予防や治療に効果が期待できる。
WHOの研究機関でも、カリウム摂取が健康に及ぼす影響に関する系統的レビューとメタ解析を行っており、成人の高血圧患者の血圧が低下したほか、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎機能には有害な作用はないことを証明している。
また、同調査では、カリウムの高摂取により脳卒中のリスクが24%低下することを示す中等度の質のエビデンスも確認されたとしている。

2-2.1日の摂取目安

20代から50代のカリウムの摂取目標量は、男性であれば3000mg/日以上、女性であれば2600mg/日以上である。
大量に摂取した場合でも、体内の調節機構が働き、カリウムが過剰になることは稀である。腎機能が正常であり、サプリメントなどを使用していなければ、過剰症になる可能性は低い。
なお、WHOのガイドラインでは、カリウムを男女ともに3510mg摂ることを推奨しており、高血圧予防のためにも望ましい摂取量として報告されている。

3.どの食材から摂取できるか

ほうれん草、春菊などの野菜や柿、すいか、メロンなどの果物、さと芋やさつま芋、じゃが芋などのイモ類、大豆、インゲン豆、納豆などの豆類にも多く含まれている。この他にも、昆布、ひじきなどの海藻類、きのこ類、肉類、魚介類などにも多く含まれている。
カリウムは、一般的に生鮮食品に多いが、加工食品などには少なく、調理の際に煮たり、茹でたりすると、水に溶けだしてしまう。そのため、さっと水洗いして食べる生野菜サラダや、生の果物を食べると効率よくカリウムを摂れる。
煮汁ごと食べられるスープなども溶けだしたカリウムを摂ることができるため、具だくさんの野菜スープなどもおすすめだ。
前述のように、カリウムは動物性食品や植物性商品に多く含まれており、食事を3食きちんと摂れていれば、欠乏する症状はほとんど見られない。
ただし、激しい嘔吐、下痢、利尿降圧剤の長期使用などでカリウムの排泄が増えすぎると、欠乏することがある。脱力感、筋力低下、食欲不振などの症状があれば、カリウム不足が疑われる。

4.まとめ

カリウムは、成人の体に200g程度含まれており、ほとんどが細胞内に存在している、体にとって必要なミネラルの一種である。
細胞内液の浸透圧を調整して、一定に保つ働きがあり、神経の興奮性や筋肉の収縮にも関わっている。体液のpHバランスを保つ役割のほか、ナトリウムを体の外に出しやすく作用があるため、高血圧の予防や治療に役立つ。
カリウムの摂取目標量は、20代から50代の男性3000mg/日以上、女性2600mg/日以上である。
野菜や果物、イモ類、大豆、豆類、海藻類にも多く含まれているので、毎日の食事に積極的に取り入れ、カリウムを効率よく摂るようにしたい。

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