2019.06.01

高血圧対策

血圧は睡眠不足に影響される?その関連性と影響について

血圧は睡眠不足に影響される?その関連性と影響について

血圧と睡眠不足に関連性があることをご存知だろうか。しっかり睡眠がとれていないと、なんとなく体が不調だと感じる人は多いだろう。今回は、どのような生活習慣が血圧に影響するのか、その改善方法を解説していく。

今回、紹介する方法で、睡眠の質の改善や高血圧改善など、どのように生活習慣を変えればよいのか、参考にしていただきたい。

1 血圧に影響する睡眠や生活習慣

睡眠と血圧は、その睡眠時間や睡眠の質、生活習慣で、高血圧の発症率が変わるといわれている。
ここでは、その関係性や注意点を紹介する。

1-1 適切な睡眠時間になっていない

充分な睡眠時間が取れていない、または睡眠の質が低下している場合、高血圧の発症率が上がるといわれている。

アメリカの大学の研究によると、睡眠時間が5時間以下の中年層は、睡眠時間が7時間以上の方よりも、高血圧の発症率が高くなるという研究結果がある。5時間の睡眠時間のグループは、睡眠の質が低下している傾向があり、睡眠障害に繋がっているケースが多い。
また、適切な睡眠時間が取れていない場合、生活習慣病を発症するケースがある。

一方で、寝床で長く過ごしすぎても、熟睡感が減るといわれている。個人差はあるが、厚生労働省によると、必要な睡眠時間は「6時間~8時間」と考えられている。先に述べた、生活習慣病の観点からもいえるが、それ以上の睡眠時間をとったからといって健康になるわけではない。

1-2 就寝前のスマホのブルーライトには要注意

近年、寝る直前までスマートフォンなどの画面を見る機会も増えている。
スマートフォンのブルーライトは、自律神経に悪影響し、交感神経が優位になるため、不眠の原因となる。

1-3 カフェインやアルコールが血圧に及ぼす影響

2~3杯のコーヒーに相当するカフェインを1回摂取すると、血圧が上昇したという報告がある。その報告によると、摂取してから30分後から血圧の上昇がみられ、1時間~1時間半後に最大となり、2~4時間、継続したとのことだ。

アルコールは一時的に血圧を下げるが、日々の飲酒量が多いほど血圧を上げる。アルコールによって血管が収縮し、心臓の拍動が高まり、交感神経が活発になることが原因と考えられている。

1-4 運動不足が引き起こす 血圧への影響

運動不足は、高血圧や肥満などの生活習慣病の発症リスクを引き上げてしまうため、適度な運動を習慣化することが勧められている。

適度な運動とは、「1日の30分~60分、中強度の有酸素運動を週3回以上」とされている。

2 睡眠不足がもたらす血圧への影響

睡眠不足は、自律神経系の乱れを引き起こし、結果として高血圧の状態を継続させてしまうケースもある。その睡眠不足がもたらす血圧への影響を解説する。

2-1 睡眠不足は高血圧のリスクを引き上げる

自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の2つがある。交感神経は「緊張状態」、副交感神経は「リラックス状態」とイメージしやすい。睡眠するときは、副交感神経が優位になっていなければならない。

2-1-1 睡眠と交感神経の関係

寝ている間、交感神経は活動を休んでいて、血圧は下がる。寝不足の状態だと、交感神経が活発なまま血圧も下がらず、翌日の血圧まで高くなってしまう。

2-2 肥満による睡眠時無呼吸症候群も関係が

睡眠時無呼吸症候群は、交感神経を活発にするため、高血圧を引き起こす。また、眠りが浅くなるため、本来夜間に血圧は10~20%低下するが、睡眠時無呼吸症候群方は下がらなくなっている、その心疾患を発症するリスクは、一般の人に比べると、2~3倍にもなるといわれている。

3 睡眠不足による高血圧を見直すために

高血圧改善のために、睡眠不足を解消するための方法としては、以下のような方法がある。

3-1 寝る直前の食事は控える

食べ物の消化は、副交感神経が優位のときにおこなわれる。満腹の状態で眠ると、寝た後も胃が動き続けるため、興奮状態となりなかなか寝付けなくなる。
就寝前の食事は控えることをオススメする。

3-2 寝る前にリラックスするためのルーティンづくり

興奮状態ではなかなか寝付けないため、寝る前にリラックスすると良い。

40℃くらいで、高すぎない温度のお湯で入浴することは、精神的なリラックス効果がある。血管がひろがり、熱を放つので、寝付いた後90分前後に深い眠りになる。42℃以上の熱いお湯では、体温が上がりすぎ、逆に睡眠の妨げとなるため、避けることが勧められている。

また、不安な感情は、寝付きを悪くする。
アロマを炊いたり、音楽をきいたり、自分なりのリラックス方法を見つけよう。

3-3 日頃から生活リズムを整える

不規則な食事や睡眠は、体内のリズムを狂わせ、健康障害を引き起こすと報告されている。日頃から毎食食べること、睡眠時間を確保することが生活リズムを整え、高血圧対策にもつながる。

3-4 寝る直前のアルコール・カフェインを避ける

アルコールやカフェインは、場合によっては睡眠を妨げるといわれている。
コーヒーや紅茶、チョコレートにはカフェインが含まれていることで有名である。しかし、覚醒作用があるため、カフェインに敏感な方には、就寝の5~6時間前から避けることが勧められている。

アルコールは、一時的には眠りやすくするが、途中で起きてしまったり、眠りを浅くしてしまったりする。熟睡感が得られないため、結果として睡眠不足になりやすい。

3-5 適度な運動を心がける

質の良い睡眠のためには、適度な運動が効果的である。

軽度の高血圧患者が10週間ほど運動をおこなうと、血圧が10/5mmHg低下する、といわれている。運動によって、交感神経の活動が抑えられ、さらに血管が拡張するため、血圧を正常に保つには良い。

4.まとめ

今回の要点は、以下の3点である。

・睡眠不足は、交感神経が活発なままになるため、血圧が上がる
・肥満は睡眠時無呼吸症候群を引き起こし、交感神経を活発にする。また、睡眠を浅くする
・遅くても寝る3時間前までには食事をすませ、寝床に入ったら悩み事などを考えないようにする心がけが大切である

睡眠は、長すぎても短すぎても熟睡感が減ってしまう。理想的な睡眠時間は、6~8時間とされている。肥満は睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなり、心疾患が通常の2~3倍となる。

寝る前に食事をし、そのまま寝ると、胃で消化活動だけされ、脳が興奮するため、寝付きにくい。適度な運動を生活に取り入れ、日頃から生活リズムを整えることが大切である。

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