2022.11.08
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高齢者の脱水症状の見分け方!重症度・対処法・摂りすぎサインまで解説
いま高齢者には、自覚なく脱水症状を起こす「かくれ脱水」になる人が増えています。
脱水はめまいや倦怠感、発熱など様々な不調の原因になるだけでなく、重度になると命に関わる症状が出ることもある危険なものです。日頃から十分に水分が摂れているか確認するようにしましょう。
今回は、高齢者の脱水症状の見分け方と重症度別の対処法をご紹介します。水分補給の目安やポイントも解説するので参考にしてください。
目次
1.重症度別|高齢者の脱水症状と対処法
高齢になると身体機能の衰えによって水分保持力が低下し、喉の渇きも感じにくくなるため脱水になりやすいとされています。また、尿もれや夜間のトイレ回数が気になるからと、水分を控える方も多くいらっしゃいます。
脱水は大小様々な体調不良を招くので、少しでもサインが見られたらすぐ対処することが大切です。軽度から重度までの脱水の症状と対処法を解説します。
【軽度】脱水症状のサインと対処法
軽度の脱水症状は3~5%の水分が失われた状態です。脱水症状のサインは以下の通りです。
- 唇や口の中の乾燥
- 皮膚のかさつき
- ワキなど汗をかきやすい場所の乾燥
- 胸や手の甲の皮膚をつまんで、元に戻るのに時間がかかる
- 爪を押した後、すぐに色が戻らない
- 手足が冷たい
- ぼーっとする、うとうと眠い
- めまい
- 排尿回数の減少
- 尿の色が濃い
軽度の脱水であれば水分補給を意識的にするようにすれば改善も早いでしょう。脱水症状があるときの水分補給には、お茶やコーヒーなどの利尿作用がある飲み物ではなく、水分と塩分(電解質)を摂取できる経口補水液がおすすめです。
水分を上手く飲み込めない高齢者はゼリータイプの経口補水液を活用するといいでしょう。おかゆや汁物など、食事の水分量を増やす工夫も効果的です。
【中度】脱水症状のサインと対処法
中度の脱水症状は6~9%の水分が失われた状態です。脱水症状のサインは以下の通りです。
- 頭痛
- 吐き気
- 脱力感や倦怠感
- 手足のふるえ
- ふらつき
- 発熱
- 血圧の低下
- 嘔吐
- 下痢
中度の対処法も水分と塩分(電解質)補給が基本です。軽度と同様に、経口補水液などで水分補給をしましょう。
下痢や嘔吐があるときは、排出によって体内の水分がさらに失われてしまいます。排出の度に同じくらいの量の水分補給が必要です。また、これらの症状は体力を消耗させるだけでなくその他の病気の可能性もあります。自己判断で放置せず、早めに受診しましょう。
【重度】脱水症状のサインと対処法
重度の脱水症状は10%以上の水分が失われた、かなり危険な状態です。脱水症状のサインは以下の通りです。
- 目がくぼむ
- 呼吸困難
- 意識がもうろうとする
- 幻覚や錯覚
- 話しかけても反応がない
- 失神や痙攣が見られる
これらの症状がみられた際は、緊急性が高いため迷わず救急車を呼んでください。経口摂取だけでは水分量の確保が難しく、点滴処置が必要です。高齢者の異変に気付いた時点で受診を最優先しましょう。
2.必要な水分量の目安と摂りすぎのサイン
喉の渇きを感じにくい高齢者は、必要な水分量を把握して意識的に摂ることが大切です。ただし、水分の摂りすぎも不調を招くので適正量の目安と摂りすぎのサインを知っておきましょう。
1日に必要な水分量の目安
1日に必要な水分量は、2~2.5Lほどです。ふつうに生活しているだけでも、汗や呼気、排泄などから1日2.5L以上の水分が失われると言われています。
飲み物だけで必要量を満たすのは難しいので、飲み物から1.2L、食事から1Lを目指して水分補給をすると無理なく進められるでしょう。
飲み物は就寝の前後・お風呂の前後・食事やおやつの時・外出の前後などタイミングを決めて、1日6回以上定期的にコップ1杯飲む習慣をつけるのがおすすめです。
食事はおかゆやサラダ、スープ類、果物など水分を多く含むメニューを心がけましょう。パンや肉類を多く食べる方は水分量が少なくなりがちです。その分は飲み物で補うようにしましょう。
水分の摂りすぎで表れる症状
水分の過剰摂取は水中毒のおそれがあるため、気をつけなければなりません。水中毒は水分の大量摂取で、血液中のナトリウム(塩分)濃度が下がりすぎて不調が起きている状態です。以下のような症状がみられたら水分摂取量を見直しましょう。
- むくみやすい
- 下痢
- 動悸、息切れ
- 頻尿
- 血圧上昇
- めまいや倦怠感
- 不整脈
- 冷えやすい
- 体重増加
個人差はありますが、1時間に1L以上の水分を摂取している場合は摂りすぎです。水分はこまめに分けて摂ること、水分と同時にナトリウムも補給できる経口補水液を活用することなどを心がけましょう。
3.介護が必要な高齢者の水分補給のポイント
自力摂取が難しい高齢者の水分補給は、介護者がポイントを押さえて助けてあげましょう。
水分補給の時間と量を決める
介護が必要な高齢者は排泄回数を減らすために水分を控えがちです。介護者からの声掛けが大切になるので時間と摂取量のルールを作るといいでしょう。例えば、「起床後、毎食後、おやつ、入浴前後、寝る前にコップ1杯の水分補給」などがおすすめです。
水分補給の記録を付ける
記録をつければ全体摂取量も把握でき、水分補給を忘れる心配もありません。携帯やノートに一日の水分摂取量をメモしましょう。脱水症状が疑われる際の受診にも役立つはずです。
水分補給時は前傾姿勢にする
高齢者は水分で誤嚥するリスクが高く、飲む姿勢にも配慮が必要です。上向きは誤嚥しやすいので、水分を取る際は身体を起こして前傾姿勢を保ちましょう。
水分補給は水や白湯、経口補水液にする
緑茶やコーヒー、紅茶などを好む高齢者も多いですが、利尿作用を促すカフェインが含まれているため、かえって排出量が増えてしまいます。
水分補給には水や白湯、発熱や食欲がない時など脱水気味の時は経口補水液がおすすめです。それでは物足りない方は、麦茶やほうじ茶、ルイボスティーなどのノンカフェインの飲み物を選びましょう。
嚥下障害がある方にはトロミをつける
飲み込む力が衰えているとムセやすくなります。水分はトロミ付きやゼリー状にするといいでしょう。
水分摂取してもらえないときは無理せず工夫する
水分補給を嫌がる場合は無理させず、水分の多いおやつや料理への置きかえなど工夫します。ゼリーや果物など好きな食べ物やティータイム風など楽しい演出をするのも効果的です。
5.まとめ
高齢者は喉の渇きを感じにくく、排泄回数を減らすために水分を控える人が多いため脱水症状になりやすいものです。意識して水分補給する必要があります。
脱水になると大小様々な不調が表れます。口腔内の乾燥やめまい、皮膚のかさつきや倦怠感などの他、重度になると呼吸困難や失神など命に関わる危険性も。日頃から水分量に注意して、症状が出たら迅速に対処しましょう。
1日に必要な水分量は2.5L。「飲み物から1.2L、残りは食事から」を水分補給の目安にするといいでしょう。また、介護が必要な方には飲み込みやすい姿勢やトロミつけなど工夫も大切です。
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