2022.03.29
健康食
介護食
高齢者の食事が進まない原因とは?食べないときの対策も紹介
高齢になった親御さんに食事を出してもなかなか食べてくれない、というお悩みをお持ちではありませんか?年齢を重ねると食が細くなるイメージはありますが、病気の可能性を疑って心配になるかたも少なくないはずです。
この記事では、高齢者がご飯を食べない原因を紹介するとともに、食事が進まないときに試してほしい6つの方法を紹介します。
目次
1.食事が進まない…高齢者が食べない原因とは
高齢者があまりご飯を食べない理由は多くあります。食事をとらないからといって、かならずしも病気であるとは限りません。代表的な5つの原因についてみていきましょう。
運動量の低下
体の痛みや気力の低下などで、運動量が減る高齢者は少なくありません。運動量が減少すると筋力とともに基礎代謝まで下がってしまうので、空腹を感じにくくなります。そのため、食事を出してもあまり食べない場合があります。
身体機能の低下
加齢による身体機能の低下もご飯を食べない要因のひとつです。味覚や嗅覚が衰えると、料理の味を感じにくくなるので、食事の楽しみが減ってしまいます。また、咀嚼や嚥下に支障があると食べられるものが制限されるため、食欲がわきにくくなります。
ほかにも、内臓機能が衰えると胃腸での消化も弱まるので、消化不良や下痢、便秘などの症状が起こりやすくなり、十分な食事をとらなくなってしまうことがあります。
病気
風邪やインフルエンザのほか、高齢者が患いやすい消化器系の病気、摂食嚥下障害、ガン、心不全なども、ご飯を食べない原因と考えられます。
また、認知症になると食べ物が認識できなくなったり、箸などの食具が扱えなくなったりするので、食事への関心を失ってしまうケースもあります。
自律神経の乱れ
自律神経が乱れると、食事をとらなくなる場合があります。親しい人との死別や孤独感など、精神的に辛いことがあると、ストレスにより自律神経が乱れ、食欲を感じにくくなってしまうからです。
また、睡眠や運動の不足、栄養バランスのかたよった食事も自律神経が乱れる原因です。
服薬
高齢者は持病が悪化しやすく、日常的に服薬しているケースもめずらしくありません。服用する薬の種類によっては、副作用により食欲が低下する場合もあります。
また、薬を分解したり排出したりする内臓機能が衰えている人は、薬が強く効きすぎて副作用が起きやすく、ご飯を食べたい気持ちがわかないこともあるようです。
2.高齢者の食欲不振は低栄養につながる場合がある
高齢になった親御さんの食欲不振は加齢に由来するものも多く、仕方がないと感じるかもしれません。しかし、ご飯を十分食べない状態が長期間続くと、低栄養におちいる可能性があります。
低栄養とは、たんぱく質やビタミンといった骨や筋肉などの体を構成する栄養素が慢性的に不足している状態です。詳しくは下記記事で紹介しています。
低栄養におちいると、体重減少や筋肉量・免疫機能の低下、褥瘡、骨折、低血糖といった症状につながりかねません。これらの症状は高齢者の生活の質を著しく下げてしまうので、しっかりと食事をとってもらいましょう。
ただし、無理に食べさせようとすると、ストレスを感じて食事を拒否してしまうかもしれません。そこで、高齢になった親御さんがご飯を食べてくれないときに試してみてほしい方法を次に紹介します。
3.高齢者の食事が進まないときに試してみてほしいこと
高齢者が食事をとらない状態が続く場合、これから紹介する6つの方法を試してみましょう。はじめは少しずつでも、食欲を取り戻すきっかけになる可能性があります。
①.少量ずつ出す
食事は少量ずつ出すのがポイントです。お腹が空いていないときに、たくさんの料理が目の前に並んでいるとプレッシャーを感じさせてしまいかねません。
まずは料理を少なめに盛り付け、品数も抑えたうえで出します。まだ食べられるようであれば、都度少量ずつ追加してあげるとよいでしょう。
②.好きな料理や味付けにする
好きな料理や味付けにすると食欲がわきやすくなるので、ご飯を食べてくれる可能性が高まります。また、食事に関心を失ってしまった方にも、食べる楽しみを感じてもらえるはずです。
ただし、濃い味付けの料理を好む場合は注意が必要です。高血圧や高血糖につながりやすいので、出す頻度や量に気をつけましょう。また、濃い味と薄い味のメリハリを付けたり、塩気の代わりに香辛料や酸味などを上手に活用したりする方法もあります。
③.食べやすいものを選ぶ
高齢者の身体状況に合わせて、食べやすいものを選ぶのもひとつの手段です。咀嚼や嚥下機能が低下すると、固いものや大きいものが食べにくくなります。そのため、食材を柔らかくしたり、一口大に切って出したりするのがおすすめです。
おにぎりやサンドイッチなど手でつまめるもの、茶碗蒸しや卵豆腐などのど越しのいい料理も食べやすいはずです。通常の食事形態が難しい場合は、介護食も検討する必要があります。
介護食については下記記事で詳しく解説しています。
介護食5つの種類と特徴をくわしく解説!市販の介護食の区分も紹介
④.水分摂取を促す
食が進まないときは、水分摂取を促しましょう。食欲がないと自然と水分摂取量も減り、脱水になりがちです。また、脱水が原因で食欲が落ちることもあります。
味噌汁や野菜スープといった汁物のほかに、果物やゼリーなど水分の多いおやつでも水分を取り込めるのでおすすめです。
⑤.食べたいときに出す
高齢者のかたが少しでも食べたい気分になったときに食事を出してあげるのも有効です。お腹を空かせているタイミングで出せば、いつも以上に食が進むはずです。
作り置きやレトルト食品ならすぐ用意できるので、常備しておきましょう。
⑥.食事の環境を変えてみる
いつもと食事の環境を変えてみると、ご飯を食べるようになる場合があります。たとえば、普段は離れて暮らすご家族や友人を招いて食事会をするのはいかがでしょうか?一緒に食卓を囲んでいると、楽しい雰囲気につれられて食も進むはずです。
また、音楽をかけたり、外食を利用したりして、普段と違う食事を演出するのもおすすめです。外出が難しいかたには、高齢者向けの宅配弁当を注文する方法もあります。下記記事で詳しい選び方について紹介しています。
4.まとめ
高齢になった親御さんが食事をとらない場合、病気ばかりが原因ではありません。高齢者は、運動量の低下や身体機能の衰え、自律神経の乱れ、服薬による副作用といった理由でも空腹を感じにくくなり、ご飯を食べないことがあります。
しかし、十分な食事をとらないままでは、低栄養におちいるかもしれません。そこで、以下の方法を試すのがおすすめです。
・料理は少量ずつ、品数を抑えて出す
・親御さんの好きな料理や味付けにする
・柔らかいものや食べやすい大きさのものを選ぶ
・脱水に注意して、水分摂取を促す
・親御さんが食べたい気分のときに出してあげる
・普段と違った食事環境を演出する
これらの方法で、少しずつでも食事をとってくれるように工夫しましょう。
管理栄養士資格、栄養士資格、フードスペシャリスト資格
食事療法が必要な方や老若男女問わず、心身ともに健康になれるお食事のお手伝いがしたいという想いから、タイヘイ株式会社に入社。現在は、管理栄養士として在宅向け商品の開発・販売とお電話でよせられるお客様からの食事に関するご相談の業務を行なっています。より多くの方が健康な日々を過ごせるように、食と健康に関する豊富な情報を発信していきます。
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